診察室で主治医の説明を聞きながら、
「正直、よくわからなかった」
「何となくわかった気はするけれど、自信がない」
それでも、主治医が忙しそうにしていると、「ここで聞き返していいのだろうか?」と迷ってしまう方は多いと思います。
今回は、主治医の説明が理解できないとき、どこまで・どう聞き返せばいいのかについて、わかりやすく解説します。
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1.「わからないまま帰る」ことのリスク
説明を十分に理解しないまま診察を終えてしまうと、次のようなことが起こりがちです。
・治療方針や処方内容が分からず、不安が強くなる
・日常生活上の注意点を誤って理解してしまう
・次回の外来受診時に質問する判断基準が曖昧になる
これは、患者さんの理解力の問題ではありません。
医療は専門性が高く、一度聞いただけで完全に理解できるほうが稀なのです。
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2.「ここまでは聞いていい」の基準
聞き返してよいか迷ったときは、次の視点で考えてみてください。
「この説明が分からないまま、自宅で判断できるか?」
・薬を飲むタイミング
・次回の外来受診の目安
・症状が変化したときの対応
これらに関わる説明は、必ず理解しておく必要があります。
遠慮する必要はまったくありません。
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3.聞き返すときは「理解できない理由」を伝える
「分かりません」とだけ伝えるのは、勇気がいるものです。
そんなときは、理解できない ” 理由 ” を添えると、会話がスムーズになります。
例えば、
・「専門用語が多くて、整理できなくて」
・「前回との違いが、わからなくて」
・「日常生活の中で何を気をつければいいのか知りたくて」
医師は説明のプロですが、どこでつまずいているのかが分かれば、説明を変えることができます。
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4.「もう一度説明してもらう」のは失礼ではない
「さっき説明したのに、と思われないだろうか?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、理解できないまま曖昧に終わらせるほうが、医療としてはリスクが高いのが現実です。
・「確認させてください」
・「理解が正しいのか教えてください」
こうした言い方であれば、主治医も ” 確認の質問 ” として受け取りやすくなります。
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5.その場で聞けなかった場合は、どうする?
診察室では緊張していて、後から疑問が出てくることもあります。
その場合は、次回の受診時にまとめて聞いても問題ありません。
・「前回の説明で、ここがわからなくて」
・「家に帰ってから疑問が出てきて」
このように前置きをすることで、聞き返す心理的な負担も軽くなります。
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6.説明を「理解する」ことも、大切な医療の一部
医療は、「説明される側」と「説明する側」だけで成り立っているわけではありません。
理解し、納得し、日常生活の中で実行できてこそ、診察や治療は意味を持ちます。
もし、
・主治医の説明が難しく感じる
・どこを聞き返せばいいのか分からない
・質問すること自体に抵抗がある
そのような場合には、第三者の立場で整理をお手伝いすることも可能です。
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7.おわりに
「わからないままにしない」ことは、ご自身の体と生活を守るための、重要な一歩です。
遠慮や気遣いの前に、まずは理解することを最優先にしてよいということを、ぜひ知っていただければと思います。
【 事務所紹介・執筆者 】
吉澤社労士事務所 メディカルサポート
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執筆:吉澤 健一
(元臨床工学技士/医療コーディネーター)
医療現場での経験と、現在の医療コーディネーターとしての立場から、「医療」と「生活」をつなぐ視点での情報発信を行っています。
主治医の説明の受け止め方や、質問の整理にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
―― 心に寄り添うことから、伴走は始まります。
