主治医に「様子を見ましょう」と言われたとき
― その言葉の本当の意味と、患者さん側の受け止め方 ―
外来受診や入院中の説明で、主治医から
「しばらく様子を見ましょう」
「今回は経過観察でいきましょう」
と言われた経験のある方は多いと思います。
しかし、この言葉の意味が十分に理解できず、
「何もしてもらえないのでは?」
「このまま悪くなるのでは?」
と不安を感じたまま診察室を後にしてしまう方も多いのが実情です。
今回は、主治医が使う「様子を見ましょう」という言葉の背景と、患者さん側が知っておきたい考え方、対応のポイントについて解説します。
1.「様子を見ましょう」は ” 何もしない ” という意味ではありません
まず大切な点として、
「様子を見ましょう」=治療放棄・判断の先送り
という意味ではないということです。
多くの場合、この言葉には以下のような医学的判断が含まれています。
・現時点では、緊急性が高くない
・今すぐ治療や検査を行うことで、かえって不利益が生じる可能性がある
・症状や数値の“変化”を見てから判断した方が正確
・自然経過の中で改善する可能性がある
つまり、「今は動かないことが最善」という積極的な判断である場合もあるわけです。
2.主治医が「様子を見ましょう」と判断する主な理由
① 症状や検査結果が ” 境界線上 ” にある場合
明確に治療が必要とも、不要とも言い切れないケースでは、一定期間の経過観察が選択されます。
② 追加治療のリスクが大きい場合
薬の副作用、侵襲的検査や処置のリスクを考慮し、慎重な対応が求められることがあります。
③ 時間の経過自体が重要な情報になる場合
症状が進行するのか、改善するのかを見極めることで、診断がより明確になることがあります。
3.「どのように様子を見るのか」が重要です
患者さんが不安を感じやすいのは、
「様子を見ると言われたが、具体的な説明がない」
というケースです。
本来、「様子を見る」には以下のような要素が含まれているはずです。
・どの症状に注意すべきか
・どの程度悪化したら受診が必要か
・次回受診までの期間
・自宅で気をつける点や日常生活上の注意
これらが示されていない場合、患者さん側から確認してよい内容です。
4.診察室で確認しておきたいポイント
「様子を見ましょう」と言われた際、可能であれば次のような質問をしてみてください。
・「どの症状が出たら、早めに受診した方がいいですか?」
・「今後、悪化する可能性はどのくらいありますか?」
・「次はいつ頃、受診すればよいでしょうか?」
・「日常生活で注意することはありますか?」
これらは決して ” 聞きすぎ ” ではありません。
主治医にとっても、患者さんの理解度を確認する大切な情報源になります。
5.「不安が残る」こと自体が、次回の相談材料になります
医学的には問題が小さいと判断されていても、
患者さんの不安が強い場合、その不安自体が重要なサインです。
・症状は軽いが、生活への影響が大きい
・過去の経験から強い恐怖感がある
・家庭や仕事への支障が出ている
こうした点は、検査結果だけでは見えてこないものです。
遠慮せず、言葉にして伝えることが大切です。
6.まとめ:主治医の言葉を「一緒に確認する」姿勢を
「様子を見ましょう」という言葉は、
医師にとっては日常的でも、患者さんにとっては不安を伴う表現です。
大切なのは、
・その言葉の背景にある医学的意図を知ること
・自分が何をすればよいのかを確認すること
・不安をそのままにしないこと
診察は、主治医だけが判断する場ではなく、
患者さんと主治医が一緒に今後の方針を確認する場でもあります。
少しでも理解できない不安な点があれば、遠慮なく立ち止まり、聞き返してみてください。
それが、より納得できる医療につながっていきます。
