2025.10.02

コラム

進行性疾患での「更新時の注意点」【 パーキンソン病 】

― パーキンソン病における “オン・オフ現象” ―

障害年金は、一度受給が決まっても定期的に「更新」が必要になります。特に進行性の難病では、この更新時に実際の生活状況が十分に反映されず、等級が下がってしまうリスクがあります。今回はその中でもパーキンソン病に特有の「オン・オフ現象」に焦点を当てて解説します。


■ パーキンソン病のオン・オフ現象とは

パーキンソン病では、内服薬(特にL-ドパ)の効果が安定せず、
オンの時間:薬が効いて体が比較的動きやすい時間帯
オフの時間:薬が切れて動作が強く制限される時間帯
が一日の中で繰り返し訪れることがあります。

クライアントやご家族にとっては、この「波」が日常生活に大きな影響を及ぼしています。

・朝は歩けても夕方は立ち上がれない
・外出の予定を組んでも時間帯によって実行できない
こうした現実が「診察室の短い時間」や「診断書の一行」だけでは伝わりにくいものです。


■ 更新時に注意すべきポイント

1.診断書の記載のタイミング
 診察が「オンの時間」に当たると、症状が軽く見られてしまうことがあります。更新時は「オフの時間の状態」も含めて生活への影響を伝えることが必要になるのです。

2.生活全体の制約を記録する
 「一人で外出できない」「食事の準備に長時間かかる」「転倒の恐怖で行動が制限される」など、単なる動作能力だけでなく、生活の質全般に関わる困難を主治医の先生にご理解いただくことが重要です。

3.ご家族の支援が不可欠な場面を明示する
 「家族の支えがあるからできている行為」と「本来は自立できない行為」を区別して伝えることが大切なんです。


    ■ 弊所ならではの関わり方

    私自身、元医療従事者として臨床の現場でパーキンソン病の患者さんを数多く支援してきました。その経験から、服薬効果の波による生活上の制約を具体的に聞き取り、医師に的確に伝えるポイントを整理するようにしています。

    さらに、医療コーディネーター・社会保険労務士として、診断書の「医学的表現」とクライアント・ご家族の「日常生活の実感」とをつなぎ、更新時に不利益が生じないようサポートすることを重視しています。

    弊所では「病状の変動をどう伝えるか」という部分まで踏み込み、クライアントが安心して療養を続けられるよう、これからも支援していきます。


    👉 次回は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)における更新時の注意点を取り上げ、呼吸筋や嚥下機能の進行がどのように評価に影響するのかを解説していきます。

    お問い合わせはこちらから